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大学への生物

大学入試に向けた高校生物の解説をしています.徐々にコンテンツを増やしていきます.現在は2017年度大阪大学の解説を作成中.解説してほしい問題などのリクエストがありましたらコメント欄まで.

2017年度 神戸大学 前期 生物 Ⅳ【解説】

神戸大学(2017-前期) 解説

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【解説】難易度:★★★★☆

2017年度の神大生物で最も差が出る問題だと思います.

遺伝子型を決定するところでミスすればこの大問は0点になりかねません.

その一方で,遺伝子型をしっかり決定できれば,

満点を取るのは比較的容易な感じがします.

難易度としては★4つを付けましたが,

この手の問題を得意としている人にとっては,★2つぐらいです.

この問題が解けるかどうかは遺伝の計算問題を数多くこなしてきたか

どうかによると思います.そういう意味では良問といってもいいかもしれません.

 

(1)

Xの強度抵抗性に関する遺伝子をX,その対立遺伝子をx,

Yの中度抵抗性に関する遺伝子をY,その対立遺伝子をy,

とし,

 

リード文より,

Xの純系の遺伝子型は【XXyy】,Yの純系の遺伝子型は【xxYY】,

Oの純系の遺伝子型は【xxyy】であると考えられます.

 

これは実際にリード文(i)(ii)(iii)に照らし合わせればわかります.

リード文(i)より,XとOを掛け合わせます.

【XXyy】×【xxyy】の掛け合わせなので,F₁は,

【Xxyy】になります.

これが全て強度抵抗性になるので,遺伝子Xが存在していれば,

強度抵抗性を示すと考えられます.

これを自家受粉させると,次の表のようになり,

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強度抵抗性:感受性=3:1になることに一致します.

 

リード文(ii)のYとOについても同様にすると,

遺伝子Yが存在し,遺伝子Xが存在しなければ,

中度抵抗性を示すと考えることができます.

 

リード文(iii)より,XとYを掛け合わせます.

【XXyy】×【xxYY】の掛け合わせなので,

そのF₁個体の遺伝子型は【XxYy】になります.

これが,強度抵抗性を示すということなので,

遺伝子Xが存在すれば,遺伝子Yがあっても強度抵抗性を示す

と考えることができます.

 

つまり今回の問題におけるルールとしては

・遺伝子X有,遺伝子Y無→強度抵抗性

・遺伝子X無,遺伝子Y有→中度抵抗性

・遺伝子X有,遺伝子Y有→強度抵抗性

・遺伝子X無,遺伝子Y無→感受性

となります.

 

これに基づいて問題を解いていきましょう.

(1)①

XとYの掛け合わせによるF₁と,Oとの掛け合わせなので,

【XxYy】×【xxyy】になります.

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上の表のようになるので,

強度抵抗性:中度抵抗性:感受性=2:1:1になります.

 

(1)②

XとYの掛け合わせによりF₁の自家受精なので,

【XxYy】×【XxYy】になります.

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上の表のようになるので,

強度抵抗性:中度抵抗性:感受性=12:3:1になります.

 

(2)①

XとYを掛け合わせてできたF₁とOとの交雑によってできた世代は,

強度抵抗性:中度抵抗性:感受性=5:4:1

になると書かれています.

Oの遺伝子型は劣性ホモ【xxyy】なので,

交雑によってできた世代の各種遺伝子型の比率は,

XとYの掛け合わせによって作られたF₁の作る配偶子の比を

表すことになります.

F₁が作る配偶子は,

【XY】【Xy】【xY】【xy】であり,

【XY】:【Xy】:【xY】:【xy】=1:4:4:1

で配偶子が作られれば,

強度抵抗性:中度抵抗性:感受性=5:4:1になります.

なので組み換え価は,(1+1) / (1+4+4+1)=0.2.

つまり20%となります.

 

(2)②

XとYを掛け合わせたことによってできたF₁とOとの交雑によって

作られた強度抵抗性個体の遺伝子型は,【XxYy】【Xxyy】の

2種類であり,その比は,

【XxYy】:【Xxyy】=1:4になる.

 

【XxYy】を自家受粉させたてできた集団では,

強度抵抗性・中度抵抗性・感受性がすべて現れます.=「p」

((1)②ですでに検証済み)

【Xxyy】を自家受粉させてできた手段では,

中度抵抗性を示す個体が出ません.(遺伝子Yが存在しないため)

=「q」

 

つまり,p:q=1:4なので,

pが20個,qが80個となります.

 

(2)③

F₁が作る配偶子の比に注意して計算するだけです.

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上の表より,

強度抵抗性:中度抵抗性:感受性=75:24:1

になります.

2017年度 神戸大学 前期 生物 Ⅲ 【解説】

神戸大学(2017-前期) 解説

 

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【解説】難易度:★★☆☆☆

(3)①までは基礎的な知識問題なので確実に点を取りたいところ.

逆に(3)②や(4)は定番とはいえない記述問題なので,

実力差がはっきりでそうな問題でした.

 

(1)

(ア)地理的(イ)倍数化(ウ)突然変異(エ)分子時計(オ)細菌(カ)古細菌

 

(2)①生殖的隔離 ②同胞種

 

(3)①中立進化

 

(3)②

生存や繁殖に不利な突然変異が生じた場合,

その遺伝子を持つ個体は自然選択によって排除される可能性が高いです.

一方,生存や繁殖に対して有利でも不利でもない中立な突然変異が生じた場合,

その遺伝子は自然選択によって排除されにくく,

遺伝的浮動によって集団全体に広まることがあります.

 

分子進化の速度の大きくなるケースは次のようなものがあげられます.

イントロン塩基配列 

②生体にとって重要なタンパク質の遺伝子 

③タンパク質の機能の決定に重要な役割を担うアミノ酸配列

アミノ酸を指定するコドンの3番目の塩基

 

今回の問題の解答は④に当たります.

 

【解答例】

アミノ酸を指定するコドンの3番目の塩基は,突然変異が起こってもアミノ酸が変化する可能性が低く,分子進化が進みやすい傾向にある.(64字)

 

(4)

書きなれない記述で,しかも120字なのでなかなかキツい問題かもしれません.

分子系統樹の利点については次のようなものが考えられます.

 

・形態的に類似していない種でも系統関係が分かる

・形質が数値化しにくく,統計データとして扱いにくいのに対し,

 分子データは数値化しやすく,統計データとして処理しやすい.

 

【解答例】

形態的に類似していない種同士であっても,分子データを用いることでその系統関係を把握することが可能となったり,形質と違って分子データは数値化がしやすく,統計データとして処理しやすいので,膨大な量のデータを解析することが可能になる.(115字)

 

 

2017年度 神戸大学 前期 生物 Ⅱ 【解説】

神戸大学(2017-前期) 解説

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【解説】難易度:★★☆☆☆

すべて知識で処理できる問題なので難しくありません.

記述も定番といえば定番ですが,手こずる受験生もいたはずです.

この問題に出てくるレベルの記述が書けるようにしましょう.

 

(1)

(ア)好中球(イ)マクロファージ(ウ)樹状細胞(エ)ヘルパー(オ)キラー

 

(2)  MHC または  HLA

 

(3)①

「遺伝子の再構成」の話です.

抗体は免疫グロブリンというタンパク質であり,

抗原と結合する部位(可変部)は,抗体の種類によって異なるアミノ酸配列を

持っているため,1種類の抗原に対して,1種類の抗体だけが結合できる.

抗体の「可変部」のアミノ酸配列は「遺伝子の再構成」と呼ばれる

様式で決定しており,このおかげで,問題文にあるように

「ヒトの遺伝子は22,000程度にも関わらず,数千万種類の抗体をつくることができる」

わけです.

 

「遺伝子の再構成」についてまとめておきます.

未分化なB細胞では,H鎖の可変部をコードしている遺伝子領域は断片化されており,

V領域,D領域,J領域から構成されている.各領域はさらに数十~数百の断片に分かれ

ていて,「V1,V2・・・Vp」・「D1,D2,・・・,Dq」・「J1,J2,・・・,Jr」となっている.

B細胞が分化する過程で,各領域から断片が1つずつ選ばれて結合して,

H鎖の可変部を指定する遺伝子として再構成される.

 

また,L鎖でも同様のことがおこっており,

L鎖の可変部をコードしている遺伝子領域はV領域とJ領域から構成されている.

B細胞が分化する過程で,各領域から断片が1つずつ選ばれて結合して,

L鎖の可変部を指定する遺伝子として再構成される.

 

この辺のことをまとめればOKです.

 

【解答例】

H鎖とL鎖を決定する遺伝子領域には数種類の領域が存在しており,さらに各領域は断片化されている.B細胞が分化する時に各領域から1種類ずつ断片が選ばれ結合して,可変部を指定する遺伝子として再構成されるため.(98字)

 

(3)② 

抗原を1種類だけ投与したときの抗体産生量についてまず考えます.

1回目に抗原を投与すると,免疫反応によってまず「1次応答」が起こります.

抗体量は数十日間上昇し,その後,減少していきます.

40日後(1回目の抗原投与にたいする抗体産生が減少した頃)に再び

同じ抗原を投与すると,1次応答よりも強くて速い免疫応答が起こります.

2次応答では抗体量は数日間のうちに上昇し,

抗体産生量も1次応答より多くなります.

そして数十日たつと,抗体産生は減少していきます.

 

ちょうどグラフで表すと,(エ)のようなグラフになります.

 

今回の問題では2種類の異なる抗原を投与するという実験です.

抗原Aにたいしては抗体aが,抗原Bに対しては抗体bがそれぞれ

独立して産生されるため,簡単に言えば,

(エ)のグラフを時間軸をずらして2つ重ね合わせたようなグラフに

なります.よって正解は(ウ)です.

 

(4)

細胞性免疫はがん細胞・ウイルス感染細胞・移植片などに対して起こります.

一方で体液性免疫は細菌・ウイルス・タンパク質・多糖類に対して起こります.

 

よって答えは(う)(か).

 

(5)

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はヘルパーT細胞に感染して,

T細胞を破壊します.するとT細胞数が減少するため免疫機能が低下し,

通常,健康な人では発症することのない病気(=日和見感染症)に

感染しやすくなります。

 

このように,HIV感染によって,T細胞数が一定数より少なくなり,

日和見感染症にかかりやすくなった状態を

AIDS(後天性免疫不全症候群)といいます.

 

よくHIVとAIDSを区別できていない人がいるので注意です.

この辺をまとめればOKです。

 

【解答例】

HIVはヘルパーT細胞を破壊する.T細胞数が一定数より少なくなり,日和見感染を起こしやすい状態になるとAIDSとなる.(59字)

2017年度 神戸大学 前期 生物 Ⅰ 【解説】

神戸大学(2017-前期) 解説

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【解説】難易度:★★★☆☆

(4)の考察問題・記述問題が難しめです.

この問題が取れたらアドバンテージになるでしょう.

逆に(3)までは基礎知識です.すべて取っておきたいところ.

 

(1)

(ア)トランスジェニック(イ)RNA干渉(ウ)ノックダウン

 

(2)

PCR法の手順はよく記述で出されます.きちんと書けるようにしておきましょう.

PCR法は下の3段階の反応によって行います.

 

① 94度に加熱して鋳型となるDNAを一本鎖に解離する.

② 55度に温度を下げて,増やしたい部分に応じたプライマーを結合させる.

③ 72度に温度を上げて,耐熱性細菌由来のDNAポリメラーゼにより,DNAを合成.

 

【解答例】

①(a) 二本鎖の鋳型となるDNAを一本鎖に解離する.

 (b) 一本鎖DNAに増幅させたい部分に応じたプライマーを結合させる.

 (c) DNAポリメラーゼによって,鋳型鎖を元にヌクレオチド鎖を合成する.

②高熱環境

 

(3)①制限酵素 ②DNAリガーゼ

 

(4)①

まず,プロモーターと構造遺伝子の間にある領域はオペレーターと呼ばれる領域です.

遺伝子Zの役割ですが,リード文中の前振りが親切ではないので,

遺伝子組み換え技術そのものについての知識が必要になります.

 

ヒントとなるのは,大腸菌を「抗生物質を加えた培養液」で培養していることです.

通常,大腸菌抗生物質を加えれば死滅します.

 

今回の実験では,プラスミドの中に遺伝子Xを挿入し,

大腸菌に取り込ませて遺伝子Xを発現させますが,

すべてのプラスミドが大腸菌の中に取り込まれるとは限りません.

その時,プラスミドを取り込んだ大腸菌だけを判別するために遺伝子Zを使います.

 

正解からいえば,遺伝子Zは「抗生物質耐性を持たせる遺伝子」です.

つまり,

大腸菌がプラスミドを取り込んだ場合,遺伝子Xと遺伝子Zは細胞内で両方とも

 発現し,遺伝子Zの発現によって大腸菌抗生物質耐性を持つようになる

  ⇒抗生物質を含んだ培養液で培養しても生存可能

大腸菌がプラスミドを取り込まなかった場合,遺伝子Xと遺伝子Zは細胞内で

 発現しないため,大腸菌抗生物質耐性を持たない

  ⇒抗生物質を含んだ培養液で培養すると死滅する.

 

こうすることで,遺伝子Xの発現の有無を判別することができます.

 

よって答えは,前述のように「抗生物質耐性を持たせる役割」です.

 

(4)②

原核生物と真核生物の違いから解答を考えていきます.

原核生物と真核生物の違いはたくさんありますが,その一つに,

原核生物ではスプライシングが起こらない」

というのが挙げられます.もう少し突き詰めていうならば,

原核生物にはイントロンがなく,スプライシングを行う必要がない」

とも言えます.

 

大腸菌原核生物です.

遺伝子Xが真核生物のゲノムDNAから単離されたものの場合,

遺伝子Xがタンパク質に翻訳される過程で,

本来ならばスプライシングで除去されるイントロンが,

原核生物である大腸菌内では除去されず,正常なタンパク質が作られません.

 

このことをまとめればOKです.

 

【解答例】

遺伝子Xが真核生物のゲノムDNAから単離されたものの場合,そこにはイントロンが含まれているが,原核生物である大腸菌ではスプライシングが起こらないため,イントロン部分まで翻訳されてしまい,正常なタンパク質が合成されない。(109字)

【記述 003】ワクチンの原理 (横浜市立-16)

記述問題 解説

【問題】重要度:★★☆

ワクチンの原理と機序を200字以内に答えよ.(横浜市立-16)

 

【解説】

ヒトのカラダでは,病原体(ウイルス・細菌など)が侵入すると,

血中の白血球が働いて,病原体を排除しようとします.(免疫反応)

 

病原微生物(抗原)が侵入すると,抗原は樹状細胞に取り込まれ,

分解・断片化されて細胞外に抗原提示されます.提示された抗原を認識した

ヘルパーT細胞はインターロイキンを発してB細胞やキラーT細胞の増殖・分化を

促進します.B細胞は抗体産生細胞となり,抗体を産生して,自身は記憶細胞を作る.

キラーT細胞は病原微生物感染細胞を直接攻撃し,その後記憶細胞を作ります.

ヘルパーT細胞も記憶細胞を形成します.

 

このように,一度免疫反応が起こると,白血球の1種であるリンパ球は記憶細胞を作り,

再び同じ病原微生物が侵入したときに記憶細胞が働いて,

強い免疫反応を引き起こすことができます.(2次応答)

 

この原理を応用したのが「ワクチン」であり,あらかじめワクチンを打っておくことで,

病原微生物による発症を防いだり,症状を軽度に抑えたりすることができます.

 

ワクチンとして投与されるのは,弱毒化された病原微生物(生ワクチン)や,

無毒化された病原微生物(不活化ワクチン)です.

 

●生ワクチンの特徴

 ・体液性免疫・細胞性免疫の両方を惹起することができる.

 ・単回の投与で十分な免疫を獲得することができる.

 ・病原微生物の変異を起こしうる.

 ・ワクチン内の病原微生物の感染による副作用を起こしうる.

 ・免疫持続時間が長い

 

●不活化ワクチンの特徴

 ・細胞性免疫を獲得することが難しい

 ・複数回の投与によって免疫を獲得することができる(単回では不十分)

 ・病原微生物による副作用を起こしにくい.

 ・免疫の持続時間が短い

 

注意点として,「ワクチン」と「血清療法」を区別できていない人がいます.

「血清療法」は他の動物に抗体を作らせて,その抗体を含む血清を投与することで,

病気の治療に用いたものです.

 

【解答例】

病原微生物が体内に侵入すると,リンパ球などの白血球が働いて,それを排除しようとする.これを免疫と呼び,免疫反応が一度起こると,リンパ球は記憶細胞を作り,再び同じ病原微生物が侵入した際に強い免疫反応を惹起できる.これを利用したのがワクチンであり,弱毒化,無毒化された病原微生物を投与することであらかじめ記憶細胞を形成させておき,免疫力を高めるのがワクチンである.(200字)

 

 

【記述 002】窒素代謝物の排泄 (京府医 14)

記述問題 解説

【問題】重要度:★★☆

鳥類や爬虫類など陸上に卵を産む動物では,窒素代謝物を尿酸として排泄するが,

そのことにどのような利点があるか胚発生の観点から説明せよ.(京府医 14)

 

【解説】

すこし難しめの記述問題です.

 

尿酸は「水に溶けない」という特徴があります.

尿酸が水に溶けないということは,卵殻の中の浸透圧が上がらないということです.

卵では窒素排泄物を卵の外に出すことができないので,

「浸透圧が上がらない」という特徴は非常に重要です.

 

逆に哺乳類では,窒素代謝物を尿素として排泄しますが,

尿素は「水に溶ける」という特徴によって,胎盤を介して尿素を母体に送ることができるわけです.

(ちなみに同年の問題に哺乳類が尿素を排泄するver.の記述問題もありました)

 

【解答例】

尿素は水に溶けないため,尿素が排泄されても,卵殻内の浸透圧が上がることはなく,

卵の中で尿素を蓄積させることができる.

 

2017年度 大阪大学 前期 生物 4 【解説】

大阪大学(2017-前期) 解説

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【解説】難易度:★★★☆☆

(5)以降が勝負どころです.リード文が長く,情報を整理するのが大変です.

(8)はすべての実験をまとめて考察することになるので、なかなか大変です.

 

(1)

(ア)極体(イ)卵割腔(ウ)胞胚(エ)原腸胚(オ)プルテウス

 

(2) 等割

 

(3) 胞胚

ウニが孵化するタイミングは胞胚期であることは覚えておきましょう.

 

(4) 新口動物 動物:c・e・g

新口動物に含まれるのは,棘皮動物,原索動物,脊椎動物です.

棘皮動物:ウニ・ヒトデ・ナマコ

原索動物:ナメクジウオ・ホヤ

脊椎動物:魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類

あたりは覚えておきましょう.

 

(5)

実験1の情報を整理していきましょう.

 

・タンパク質Aの分布→16細胞期のすべての割球の細胞膜に存在

           小割球では核にも存在

・タンパク質Aを過剰発現→16細胞期のすべての割球の細胞膜・核に存在

              ⇒内胚葉が過剰に形成

・タンパク質B:タンパク質Aの核への移行を阻害

・タンパク質Bを過剰発現:タンパク質Aは割球の細胞膜のみに存在.

               ⇒外胚葉のみに分化

 

(5)

リード文より,小割球ではタンパク質Aが核に存在しており,

タンパク質Aを過剰発現させると胚全体でタンパク質Aが核に存在するようになり,

外胚葉がほとんど形成されず,内胚葉が過剰に形成されるようになった.

タンパク質Aの核移行が阻害されると,タンパク質Aが核には存在しなくなり,

外胚葉のみが形成されるようになる.

 

これらの情報から,タンパク質Aは核へ移行して内胚葉を生じさせることが分かる.

 

【解答例】

タンパク質Aは核に移行して,内胚葉を生じさせる役割を持つ.

 

(6)

選択肢の中で,核内で制御されうる可能性が高いのは,転写制御です.

遺伝子の上流には転写を調節する領域があり,

そこに調節タンパク質が結合することで,転写が促進されたり,抑制されたりします.

よって解答はbです.

 

(7)

設問文にあるように,実験2の結果から,

小割球と小割球が隣接する割球(中割球)との相互作用が内胚葉の形成に必要である

ことが分かっている.

 

ただ問題文にもあるように,実験2だけだと,

①小割球と中割球の相互作用によって,中割球が内胚葉になる.

②小割球と中割球の相互作用によって,小割球が内胚葉になる.

の2つの可能性が考えられる.

 

【解答例】

小割球と小割球が隣接する割球との相互作用によって,小割球が内胚葉になる可能性が考えられるため.

 

(8)

実験4の結果から分かることをまとめておきましょう.

タンパク質Bを過剰発現させると,タンパク質Aの核移行が阻害される.

つまり,小割球の核内にはタンパク質Aが存在しないことになる.

その小割球を正常な16細胞期胚の動物極側に移植して培養したところ,

内胚葉が隣接する割球から誘導されなかったことになる.

 

つまり,実験1~実験3と合わせて考えると,

タンパク質Aが小割球の核内へ移行する.(実験1)

  ↓

タンパク質Aが特定の遺伝子の発現を促進(実験1・問6)

  ↓

遺伝子産物が隣接する割球に作用して内胚葉を誘導(実験2・3)

 

といった感じです.

これをまとめればOKです.

 

【解答例】

タンパク質Aは小割球の核内へ移行し,特定の遺伝子の発現を促進する.そしてその遺伝子産物が隣接する割球に作用することで内胚葉が誘導される.