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大学への生物

大学入試に向けた高校生物の解説をしています.徐々にコンテンツを増やしていきます.現在は2017年度大阪大学の解説を作成中.解説してほしい問題などのリクエストがありましたらコメント欄まで.

2017年度 センター生物 (本試) 大問 2A 【解説】

センター生物 (2017-本試) 解説

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【解説】難易度:★★☆☆☆

(1)は知識問題なので正解したいところ.

(2)は6割目指している人,(3)は8割以上取りたい人に正解してほしい問題です.

では解説していきましょう.

 

(1)

① 胞胚から切り出した予定外胚葉域と予定内胚葉域を合わせて培養すると

  中胚葉が誘導されます’(中胚葉誘導).神経管ができるのは予定外胚葉域なので×

② イモリの眼の形成を思い出してください.

  水晶体が表皮を誘導して角膜へ分化させるので×です

③ イモリの眼の形成を思い出してください.

  眼杯が表皮を誘導して水晶体を形成するので×です.

④ 初期原腸胚の原口背唇部を切り取り,同じ時期の他の胚の予定表皮域に

  移植すると,移植片が接する外胚葉から神経管,移植片から脊索・体節が

  分化して2次胚が形成されます(シュペーマンの2次胚誘導実験).

  よって正解は④です.

 

(2)

比較的簡単な実験考察問題です.

6割目指している人はこの問題をとれるようにしたいですね。

 

実験を整理しましょう。

・胚W(野生型マウス)では水晶体が形成される

・胚X(突然変異体マウス)では水晶体が形成されない

なので

・眼杯(胚W)+予定水晶体領域(胚W)⇒水晶体形成

・眼杯(胚X)+予定水晶体領域(胚X)⇒水晶体形成されず

これは予想通りです。

 

続いて、

・眼杯(胚X)+予定水晶体領域(胚W)⇒水晶体形成されず

・眼杯(胚W)+予定水晶体領域(胚X)⇒水晶体形成

 

この結果から、胚Xで水晶体が形成されないのは、

「胚Xの眼杯に水晶体誘導する能力が備わっていないから」

ということがわかります。

 

ここまで整理してから問2を見ていきます.

どうやら選択肢を見ると「誘導物質」なるものが誘導を惹起しているようです。

正解は①ですね.

 

(3)

(2)より難易度が上がった実験考察問題です.

8割を目指している人はこの問題ができるようになりたいところです.

 

実験3を読んでいくんですが,僕らの生物の知識ではいまいちピンとこない事実

ばかりです.それでも読み進めてポイントを整理しましょう。

 

・実験2より胚Wの眼杯は予定水晶体領域を水晶体に誘導することができる

・そのとき水晶体を誘導するのは,眼胞からの「誘導物質」である.

・胚Wから作ったES細胞を培養すると,細胞はすべて神経性の外胚葉になる.

・ES細胞を培養し続けると,眼胞が形成される.

・眼胞は,眼胞→眼杯→網膜へと分化(これはイモリの眼の形成と同じ)

・眼胞から水晶体は誘導されず

 

ここで押さえておきたいのが、

「眼胞は表皮を表皮を誘導して水晶体になる」という事実です.

これは教科書にも載っています.

ですが,今回の問題ではES細胞はすべて神経性の外胚葉になるので

(表皮性の外胚葉は形成されていないため),

眼胞は水晶体を形成できなかったのだと推察することができます.

 

ここまで整理して問3を見ていきましょう.

間違えた人の中には①を選ぶ人が多かったのではないでしょうか.

「眼胞が水晶体への分化を誘導する物質を産生できない」

というところだけを見ると,正しいように思えるのですが、

「胚Wの予定水晶体領域と合わせても」というところが

この実験群の結果からは推察できないことです.

予定水晶体領域は表皮の一部だと考えられますが,

ES細胞が持つのは神経性の外胚葉のみなので,予定水晶体領域(表皮)と

ES細胞由来の眼胞の関係はこの実験群からはわかりません.

正解は②です.