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大学への生物

大学入試に向けた高校生物の解説をしています.徐々にコンテンツを増やしていきます.現在は2017年度大阪大学の解説を作成中.解説してほしい問題などのリクエストがありましたらコメント欄まで.

2015年度 神戸大学 前期 生物 Ⅰ 【解説】

神戸大学 (2015-前期) 解説

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【解説】難易度:★★★☆☆

(1)~(3)は知識問題なので楽に解けます.

(4)~(6)は時間はかかるかもしれませんが,解ける問題だと思います.

ただ,遺伝(特に連鎖)を苦手としている人にはキツいかもしれません.

医学部以外なら,(6)まで完璧に解ければ十分アドバンテージになるでしょう.

(7)が時間内に処理するのがかなり難しいです.

素直に求めに行くととてもじゃないですけど時間が間に合いません.

簡単に解く方法があるのですが,試験中にこれに気が付く人はなかなか鋭いです.

 

 

(1)

茎の伸張成長に関わる植物ホルモンは,

伸張促進:オーキシンジベレリン・ブラシノステロイド

伸張抑制:エチレン

です.

なので,オーキシン・ブラシノステロイド・エチレンの中から2つです.

 

(2)

ジベレリンの作用:①草丈の伸張成長 ②種子の発芽促進 ③単為結実の促進

です.なので,「種子の発芽促進」「単為結実の促進」が解答です.

 

(3)

問題文より「系統4」はジベレリンが蓄積しているのにも関わらず,

草丈はわい性であり,ジベレリン含有培地で育ててもわい性のままなので,

ジベレリン自体の存在がわい性かどうかを決めているのではないことがわかります.

 

ジベレリンはホルモンなので当然「受容体」が存在するはずです.

その受容体の遺伝子に変異が起こり,ジベレリン抵抗性となれば,

わい性になることに説明がつきます.

 

もう一つ可能性を考えることができます.

受容体に結合して,それが草丈の伸張成長という形に現れるのには

さまざまな酵素や反応を介することになります.

つまり受容体結合後の情報伝達が阻害されていると,

ジベレリンが存在するのにわい性になるという事態が起こり得ます.

 

【解答例】

ジベレリン受容体の遺伝子や,受容体結合後のシグナル伝達系に関与する遺伝子.(37字)

 

(4)

「系統1」の遺伝子型:aaBBCC 「系統2」の遺伝子型:AAbbCC

において,

「系統1」が作る配偶子:【aBC】 「系統2」が作る配偶子【AbC】

なので,

この2系統の交配で得られたF1の遺伝子型はAaBbCCとなります.

続いてF1が作る配偶子は【aBC】【abC】【ABC】【AbC】の4種類になる.

(比は1:1:1:1)

ここでBCは連鎖しているが,Aは連鎖していないことに注意してください.

あと遺伝子Bと遺伝子Cは連鎖していますが,F1個体の場合,組み換えが

起こっても配偶子の遺伝子型には影響しません(CCなので)

もう少し分かりやすく説明するなら,F1個体では,

○番染色体上に遺伝子Aが乗っていて,その相同染色体上に遺伝子aが乗ります.

△番染色体上に遺伝子BCが乗っていて,その相同染色体上に遺伝子bCが乗ります.

減数分裂の時に相同染色体が分かれ,それぞれバラバラに配偶子に入るので,

上記のようね4パターンの配偶子が形成されます.

よってF1同士を交配すると次のようになり,(わい性を黄色で塗りつぶした)

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野生型:わい性=9:7となる.

 

(5)

「系統2」の遺伝子型:AAbbCC    「系統3」の遺伝子型:AABBccにおいて,

「系統2」が作る配偶子:【AbC】,「系統3」が作る配偶子:【ABc】なので,

この2系統の掛け合わせによるF1の遺伝子型は,AABbCcとなる.

F1個体が作る配偶子は,【AbC】【ABc】【Abc】【ABC】の4種類.

【Abc】【ABC】はB-C間で組み換えが起こり,形成された配偶子で,

組み換え価は25%なので,作られる配偶子の比は,

【AbC】:【ABc】:【Abc】:【ABC】=3:3:1:1

よってF1同士の掛け合わせでできるF2個体は,次の表のようになるので,

(わい性を黄色で塗りつぶしてある)

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野生型:わい性=33:31となる.

 

(6)

「系統1」と「系統2」の交配によるF1の遺伝型は,AaBbCC

作りうる配偶子は,【aBC】【abC】【ABC】【AbC】(1:1:1:1)

「系統3」の遺伝子型は,AABBcc

作りうる配偶子は,【ABc】である.

この交配でできる個体の中で,遺伝子型AaBbCcを持つのは25%

 

(7)

(6)の個体(AaBbCc)が作りうる配偶子は,

【ABc】【AbC】【Abc】【ABC】【aBc】【AbC】【abc】【aBC】の8種類.

なので比を求めて8×8の交配表を書けば・・・・となるわけですが,

とてもじゃないけど時間がかかりすぎてしまいますよね.

 

楽に求めれる方法を考えます.

(5)がこの問題を解く上で重要な道しるべとなってくれます.

 

(5)ではAABbCcの遺伝子型をもつ個体の自家受精で,

野生型:わい性=33:31でした.

AABbCcを持つ個体では,遺伝子Aは優性ホモなので,野生型かわい性かを

決定するのに関与しません.

 

今回の問題ではAaBbCcの遺伝子型を持つ個体の自家受精ですが,

遺伝子Aについてだけ見ると,AA:Aa:aa=1:2:1の割合で生じる

はずです.つまり野生型:わい性=3:1です.

 

つまり,野生型が生じる確率は,(33/64)×(3/4)=99/256

なので,わい性が生じる確率は,1-99/256=157/256

F2を6400個体作っているので,わい性の個体数は,

(157/256)×6400=3925個体.