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大学への生物

大学入試に向けた高校生物の解説をしています.徐々にコンテンツを増やしていきます.現在は2017年度大阪大学の解説を作成中.解説してほしい問題などのリクエストがありましたらコメント欄まで.

2017年度 大阪大学 前期 生物 1 【解説】

大阪大学(2017-前期) 解説

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【解説】難易度:★★★☆☆

(5)(6)は類題を解いたことがあるかどうかで明暗が分かれそうです.

 

(1)

(ア)脳幹(イ)中枢パターン受容器(ウ)反射(エ)筋紡錘(オ)シナプス

(カ)反射弓(キ)全か無かの法則

 

少しコメントしておくと,「中枢パターン受容器」は一部の教科書にしか

載っていない言葉なので,答えられなかった受験生もいたはずです.

ちょっといじわるかなという気がします.

 

(2)

神経細胞で起こる興奮の正体は「電流」です.

そして神経の軸索の周囲にはシュワン細胞の細胞膜からなる髄鞘(ミエリン鞘),

その外側にシュワン細胞の細胞質の部分からなる神経鞘(シュワン鞘)

が巻き付いています.

ミエリン鞘やシュワン鞘が絶縁体であることは習っているはずです.

なので,これらの絶縁体が,隣接する神経線維を流れる興奮(=電流)を

絶縁していることは想像がつくでしょう.このことを書けばOKです.

 

【解答例】

神経線維を取り巻くミエリン鞘やシュワン鞘は絶縁体であり,興奮により生じる電流は絶縁されているため.

 

(3)

記録電極で記録される波形の振幅が大きくなるのは,

閾値に達する神経線維の数が増えることに起因します.

注意してほしいのが,決して活動電位が大きくなるわけではありません.

活動電位自体は刺激の大きさにかかわらず一定です.(全か無かの法則)

さらに,刺激強度に応じて徐々に振幅が大きくなるのは,

たくさんの神経線維がそれぞれ異なる閾値を持っているからです.

ここに書いたことをまとめれば正解です.

 

【解答例】

刺激強度の上昇によって,閾値に達する神経線維の数が増えるため.

 

(4)

実験結果を見てください.

刺激強度2で反応Aが出て,刺激強度5で反応Aに加えて反応Bが見られます.

各反応は神経線維の興奮を表しているものなので,

カエルの坐骨神経には,反応Aを生じさせる神経線維と,反応Bを生じさせる

神経線維が存在していることが考えられます.

さらに,反応Bの方が,興奮に大きい刺激強度を必要としているため,

反応Bを生じさせる神経線維の方が閾値が高いということが言えます.

さらに反応Aが先行し,その後に反応Bが記録されています.

つまり,反応Bを生じさせる神経線維の方が伝導速度が遅いことが分かります.

これらのことをまとめれば解答です.

 

【解答例】

各反応は神経線維の興奮を表しているものであるため,このカエルの坐骨神経には反応Aを惹起する神経線維と,反応Bを惹起する神経線維が存在することが分かる.さらに反応Bを惹起する神経線維の方が興奮に大きい刺激強度を必要とするため閾値が高く,反応Aの後に反応Bが見られることから,伝導速度が遅いことが分かる.

 

(5)(6)

大学の「生理学」で学ぶ「誘発筋電図」に関連する問題です.

類題は他の大学でも出されているので経験の有無で差がついたでしょう.

 

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上の図は大学生用の図なので,見慣れない言葉が出てきますが,

大学受験生でも分かるように説明します.

 

・緑線で描かれた神経(GIa線維)=「感覚神経」

・赤線で描かれた神経(α運動線維)=「運動神経」

 

です.(オレンジ線で描かれた神経は無視してください)

 

「刺激点」で電気刺激をすると,その刺激は感覚神経にも運動神経にも与えられます.

 

しかし,感覚線維が閾値が低く,運動線維が閾値が高いため,

刺激強度が低いとき(刺激強度2・3)では,感覚線維だけが興奮します.

その興奮が,「感覚神経」→「脊髄」→「運動神経」→「筋電計」と伝わり,

反応Cを惹起します.

 

刺激強度が大きいとき(刺激強度4・5・6)では,

感覚神経に加えて運動神経も興奮します.すると,

運動神経で起こった興奮は,「運動神経」→「筋電計」と伝わり,

反応Dを惹起します.

感覚神経で起こった興奮は,「感覚神経」→「脊髄」→「運動神経」→「筋電計」

と伝わり,反応Cを惹起します.

これらのことを踏まえた上で解答すると次のようになります.

 

(5)【解答例】

反応Cは,電気刺激によって感覚神経に生じた興奮が,脊髄を介して運動神経,ヒラメ筋へと伝わり筋電計で記録されたものである.一方,反応Dは電気刺激によって運動神経に生じた興奮が直接ヒラメ筋へと伝わり筋電計で記録されたものである.

 

(6)【解答例】

運動神経の閾値より,感覚神経の閾値の方が低いため.

 

※補足

「誘発筋電図」についてもう少し書いておきます.

実は,刺激強度をもっと上げていくと,徐々に反応Cが見られなくなり,

反応Dのみが見られるようになります.

運動神経に生じた興奮は末梢側は当然のこと,中枢側へも伝導します.

※伝導は両側性に起こりますが,伝達はシナプス終末側から一方向性に起こります

 

すると,運動神経の興奮の中枢側への伝導波が,感覚神経由来の興奮の伝導波と

衝突し,感覚神経からの興奮の伝導波が相殺されてしまうということが起こり,

反応Cは徐々に見られなくなります.

 

実際、この部分まで出題された例が他大学であるので覚えておいてもいいでしょう.