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大学への生物

大学入試に向けた高校生物の解説をしています.徐々にコンテンツを増やしていきます.現在は2017年度大阪大学の解説を作成中.解説してほしい問題などのリクエストがありましたらコメント欄まで.

【記述 003】ワクチンの原理 (横浜市立-16)

記述問題 解説

【問題】重要度:★★☆

ワクチンの原理と機序を200字以内に答えよ.(横浜市立-16)

 

【解説】

ヒトのカラダでは,病原体(ウイルス・細菌など)が侵入すると,

血中の白血球が働いて,病原体を排除しようとします.(免疫反応)

 

病原微生物(抗原)が侵入すると,抗原は樹状細胞に取り込まれ,

分解・断片化されて細胞外に抗原提示されます.提示された抗原を認識した

ヘルパーT細胞はインターロイキンを発してB細胞やキラーT細胞の増殖・分化を

促進します.B細胞は抗体産生細胞となり,抗体を産生して,自身は記憶細胞を作る.

キラーT細胞は病原微生物感染細胞を直接攻撃し,その後記憶細胞を作ります.

ヘルパーT細胞も記憶細胞を形成します.

 

このように,一度免疫反応が起こると,白血球の1種であるリンパ球は記憶細胞を作り,

再び同じ病原微生物が侵入したときに記憶細胞が働いて,

強い免疫反応を引き起こすことができます.(2次応答)

 

この原理を応用したのが「ワクチン」であり,あらかじめワクチンを打っておくことで,

病原微生物による発症を防いだり,症状を軽度に抑えたりすることができます.

 

ワクチンとして投与されるのは,弱毒化された病原微生物(生ワクチン)や,

無毒化された病原微生物(不活化ワクチン)です.

 

●生ワクチンの特徴

 ・体液性免疫・細胞性免疫の両方を惹起することができる.

 ・単回の投与で十分な免疫を獲得することができる.

 ・病原微生物の変異を起こしうる.

 ・ワクチン内の病原微生物の感染による副作用を起こしうる.

 ・免疫持続時間が長い

 

●不活化ワクチンの特徴

 ・細胞性免疫を獲得することが難しい

 ・複数回の投与によって免疫を獲得することができる(単回では不十分)

 ・病原微生物による副作用を起こしにくい.

 ・免疫の持続時間が短い

 

注意点として,「ワクチン」と「血清療法」を区別できていない人がいます.

「血清療法」は他の動物に抗体を作らせて,その抗体を含む血清を投与することで,

病気の治療に用いたものです.

 

【解答例】

病原微生物が体内に侵入すると,リンパ球などの白血球が働いて,それを排除しようとする.これを免疫と呼び,免疫反応が一度起こると,リンパ球は記憶細胞を作り,再び同じ病原微生物が侵入した際に強い免疫反応を惹起できる.これを利用したのがワクチンであり,弱毒化,無毒化された病原微生物を投与することであらかじめ記憶細胞を形成させておき,免疫力を高めるのがワクチンである.(200字)