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大学への生物

大学入試に向けた高校生物の解説をしています.徐々にコンテンツを増やしていきます.現在は2017年度大阪大学の解説を作成中.解説してほしい問題などのリクエストがありましたらコメント欄まで.

2017年度 神戸大学 前期 生物 Ⅰ 【解説】

神戸大学(2017-前期) 解説

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【解説】難易度:★★★☆☆

(4)の考察問題・記述問題が難しめです.

この問題が取れたらアドバンテージになるでしょう.

逆に(3)までは基礎知識です.すべて取っておきたいところ.

 

(1)

(ア)トランスジェニック(イ)RNA干渉(ウ)ノックダウン

 

(2)

PCR法の手順はよく記述で出されます.きちんと書けるようにしておきましょう.

PCR法は下の3段階の反応によって行います.

 

① 94度に加熱して鋳型となるDNAを一本鎖に解離する.

② 55度に温度を下げて,増やしたい部分に応じたプライマーを結合させる.

③ 72度に温度を上げて,耐熱性細菌由来のDNAポリメラーゼにより,DNAを合成.

 

【解答例】

①(a) 二本鎖の鋳型となるDNAを一本鎖に解離する.

 (b) 一本鎖DNAに増幅させたい部分に応じたプライマーを結合させる.

 (c) DNAポリメラーゼによって,鋳型鎖を元にヌクレオチド鎖を合成する.

②高熱環境

 

(3)①制限酵素 ②DNAリガーゼ

 

(4)①

まず,プロモーターと構造遺伝子の間にある領域はオペレーターと呼ばれる領域です.

遺伝子Zの役割ですが,リード文中の前振りが親切ではないので,

遺伝子組み換え技術そのものについての知識が必要になります.

 

ヒントとなるのは,大腸菌を「抗生物質を加えた培養液」で培養していることです.

通常,大腸菌抗生物質を加えれば死滅します.

 

今回の実験では,プラスミドの中に遺伝子Xを挿入し,

大腸菌に取り込ませて遺伝子Xを発現させますが,

すべてのプラスミドが大腸菌の中に取り込まれるとは限りません.

その時,プラスミドを取り込んだ大腸菌だけを判別するために遺伝子Zを使います.

 

正解からいえば,遺伝子Zは「抗生物質耐性を持たせる遺伝子」です.

つまり,

大腸菌がプラスミドを取り込んだ場合,遺伝子Xと遺伝子Zは細胞内で両方とも

 発現し,遺伝子Zの発現によって大腸菌抗生物質耐性を持つようになる

  ⇒抗生物質を含んだ培養液で培養しても生存可能

大腸菌がプラスミドを取り込まなかった場合,遺伝子Xと遺伝子Zは細胞内で

 発現しないため,大腸菌抗生物質耐性を持たない

  ⇒抗生物質を含んだ培養液で培養すると死滅する.

 

こうすることで,遺伝子Xの発現の有無を判別することができます.

 

よって答えは,前述のように「抗生物質耐性を持たせる役割」です.

 

(4)②

原核生物と真核生物の違いから解答を考えていきます.

原核生物と真核生物の違いはたくさんありますが,その一つに,

原核生物ではスプライシングが起こらない」

というのが挙げられます.もう少し突き詰めていうならば,

原核生物にはイントロンがなく,スプライシングを行う必要がない」

とも言えます.

 

大腸菌原核生物です.

遺伝子Xが真核生物のゲノムDNAから単離されたものの場合,

遺伝子Xがタンパク質に翻訳される過程で,

本来ならばスプライシングで除去されるイントロンが,

原核生物である大腸菌内では除去されず,正常なタンパク質が作られません.

 

このことをまとめればOKです.

 

【解答例】

遺伝子Xが真核生物のゲノムDNAから単離されたものの場合,そこにはイントロンが含まれているが,原核生物である大腸菌ではスプライシングが起こらないため,イントロン部分まで翻訳されてしまい,正常なタンパク質が合成されない。(109字)